第2回じんましん公開セミナーハイライト-②

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左:司会 笹岡樹里さん
右:東京女子医科大学 皮膚科 教授 石黒直子先生

 11月25日にじんましんの「なに?」「なぜ?」に専門家が直接お答えする、Webで参加する第二回じんましん公開セミナーを実施しました。後半の講演では、じんましんが発症する原因・誘因について東京女子医科大学皮膚科 教授の石黒直子先生に解説していただきました。講演に参加できなかった方、講演の内容をもう一度振り返りたい方のために、公開セミナーのハイライトを記事でお届けします。前半のセミナー「この症状ってなに? - 実は知られていないじんましんの色々なタイプ」のハイライトはこちらから。

 

なぜ症状が出るの?あなたの生活を振り返ってみよう!

まず、ご自分の生活を振り返り、考えられる原因・誘因を見つけていきましょう。じんましんには様々なタイプがあり、原因・誘因が見つかることもあります。 例えば、引っ掻いたところ、もしくは日常生活でカバンなどを持っている腕にじんましんがでていませんか? 寒冷じんましんは冬寒くなる季節に症状がでやすく、夏でも冷房の風にあたるとできます。

 

これってじんましん?

受診される方の中で、じんましんでないこともよくあります。よく患者さんがじんましんと間違える、代表的な皮膚疾患には以下のようなものがあります。

・汗疹(あせも)

体に細かいぶつぶつがでて、非常に痒いため、じんましんと間違えられることがあります。 多量の汗をかいた時、汗の管の詰まりにより、管にたまった汗がまわりの皮膚に出ることででます。コリン性じんましんも、汗が出ることで膨疹というじんましんが出るため、一見症状は似ていますが、コリン性じんましんは持続時間が短く、速いと15分くらいで消えます。1日以上経っても消えないものは、汗疹の場合が多いです。

 

・虫刺され

蚊に刺された直後にできる、赤く膨らんだ状態はじんましんの膨疹と非常によく似ており、かゆみもあり、一時間以内に消えてしまうことが多いです。 しかし、その後に刺された中央部が赤く、やや硬くもりあがり数日続く場合は、数時間で消えるじんましんとは区別されます。

 

・乾皮症/皮脂欠乏性湿疹

見た目はじんましんの赤く盛り上がっている状態とは違いますが、痒いもの=じんましんと勘違いされる場合が多く、この皮疹も痒いため、間違えられることがあります。乾皮症は表皮での皮脂分泌の低下、角質のセラミド、天然保湿因子の減少(水分保持機能の低下、バリア機能の低下)などが原因となり肌が乾燥し、ひどくなるとかさかさや赤味、ぶつぶつ(湿疹)がでてきます。乾皮症では、知覚神経線維の末端が皮膚の表面近くまで入り込むことが分かっていて、そのため痒みを強く感じるとされます。

じんましんは、皮膚が赤く盛り上がり、触れるとぼこぼこ盛り上がっています。その多くは数時間で跡形も残さず消えます。これがじんましんの特徴になります。この症状を皆さんの中でしっかり覚えていただくことで、じんましんと他のものを間違えることは少なくなると思います。

 

皮膚科への受診

長く皮疹が続く慢性タイプのじんましんもあれば、1時間以内に消えて繰り返さないものもあります。どういった時に皮膚科に相談するべきなのか、悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

週に何回も出現する、もしくは毎日強い症状がでてくる方は皮膚科に受診が必要かと思います。また、症状が一ヶ月以上症状が続いている、場合によっては何年も続いている「慢性じんましん」の方は皮膚科を受診してください。

なかでも、息苦しさを感じて日常生活に影響がでていて、例えば仕事や学校にも行けない、といった方は我慢をせずに、早い受診をおすすめします。強い症状がある方は、最初から大きな病院の先生に相談した方がよいと思います。ただし、病院の多くは紹介状を持っていった方がスムーズだと思いますので、クリニックなどに一度受診していただき、紹介状をいただいたほうがよいと思います。

じんましんは、夜に出やすく、病院に行った際に症状が治まっていることがあります。 その場合はスマホなどで写真を撮り、その発疹がどれくらいで消えたか、どれくらい広がったかを記録しておきましょう。

 

医師へ伝えてほしいこと

受診した際に必ず医師に伝えてほしいことは、一つ一つの症状がどれくらい持続しているか、いったんは消えるかどうか、そういった情報を明確に伝えてください。また原因がありそうな場合は、具体的に何を食べたら出てくるのか、食後どれくらいで出てくるのか、という情報も伝えてください。

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