仲間とともに

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心のバランスとQOL

乾癬は「見える」皮膚疾患のため、患者さんご自身が外見を気にして、積極的に外出することや、人と会うのをためらうことが多いと言われています。そのため、引きこもりがちになる傾向があります。このような心のリスクのひとつが、2015年夏の米国皮膚科学会で報告されました。米国ニューヨーク大学医学部の研究グループは、乾癬患者はうつ病にかかるリスクが、他の人に比較しておよそ2倍高いと発表しています1。その理由は、社会の偏見からくるとこのグループは分析しています。乾癬とうつに因果関係があると証明されたわけではありませんが、心の状態を良くすることは患者さんご自身のQOL(Quality Of Life;生活の質)を向上させるとも言えるでしょう。心と肌は繋がっているからこそ、双方のバランスを上手に保つことが、患者さんご自身が充実した人生を送る上で大切な要素と言えます。でも、一人ではなかなか難しい場面があります。

悩み、楽しみを共有できる仲間たち

そんな時、同じ悩みを持つ仲間がいたらどうでしょう?乾癬の症状は人それぞれですが、「乾癬」という共通した悩みを持つのは同じです。家族にもなかなか言えない心のうちや考えていることを率直に話し合うことができ、分かち合える仲間がいれば、何よりも心強くはありませんか?

そうした患者さん同士、そして家族同士が交流する場として、日本全国に20の患者会があります。さらに患者会相互を繋ぐ日本乾癬患者連合会が、国際乾癬協会(IFPA;International Federation Psoriasis Association)へと世界に繋がっています。それぞれの会では医師、医療従事者も参加し、正しい治療の知識を発信・共有することで啓蒙活動を行うとともに、患者さん同士のコミュニケーションを図り、より楽しく、充実した人生を送ることを目的として活動しています。

日本乾癬学会との共同シンポジウムや学習懇談会、交流会、各患者会でのイベント、セミナーを通じて、一緒に生きる仲間たちとの交流の場を提供しています。患者会によっては、ネット上の掲示板やSNSを使って、いつでも気軽に仲間と話せる環境を整えているところもあります。日本以外でも米国、ヨーロッパにも大規模な協会があります。

乾癬の患者さんは、決して一人ぼっちではありません。世界中にいる温かく支えてくれる仲間たちとともに、前向きに人生を謳歌していきませんか。

 

参考文献

  1. Risearch links psoriasis-depression, board-certified dermatologist Roger S. Ho, MD, MPH, FAAD, assistant professor of dermatology, The Ronald O. Perelman Department of Dermatology, NYU School of Medicine/Langone Medical Center, New York at https://www.aad.org/stories-and-news/news-releases/research-links-psoriasis-depression日本語訳at https://www.mededge.jp/a/drge/19000
  2. 日本乾癬患者連合会 http://jpa1029.com/aisatsu.html
  3. 国際乾癬協会 http://www.ifpa-pso.org/

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