温泉・プール・海水浴に行きたい

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乾癬はうつる病気ではありません

乾癬は、その名前の音の響きから、「感染する病気」と誤解されることがありますが、決してうつる病気ではありません。環境的な要因と遺伝的な要因(体質など)とが合わさり発病するといわれています

うつる病気ではないにも関わらず、見た目の印象と周囲の病気に対する理解不足のために、心ない言葉を言われたり、ネガティブな態度を取られて傷ついたり、トラウマになるような経験をしたために積極的な行動がとれなくなってしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。

特に、薄着になる夏場や、温泉・プールなど肌を見せるような機会は、乾癬の症状がある方にとって困難な場といえるかもしれません。実際に温泉で差別的な待遇を受けた経験をされた患者さんもいらっしゃいます。また、家族や友人とプールや海水浴に行く機会があっても、「行きたいけど行けない」、「肌を出すことが憂うつ」という気持ちになり、大変辛い思いをしていらっしゃる患者さんもいます。乾癬の症状をコントロールするためのエネルギーを使う上に、さらにこのような社会的困難にも直面しなければならない、という厳しい現実があります。

乾癬の理解を深めましょう

このような苦しい状況に対して、患者さんご自身、家族・友人など周囲の人々、社会全体はどのように対処していったらよいでしょうか。まず患者さんご自身は、症状が目に見えるため、肌を出してプールやビーチに行くことに勇気が必要かもしれません。でも、「最初は勇気が必要だったけれど、行ってみたら心配したほどのことはなかった、要は『最初の一歩が大切』」と話す患者さんもいます。周囲の方が理解してサポート体制を作ることも必要となるでしょう。乾癬と共に生きる方たちが、偏見によって理不尽な対応を受けることがないような社会にしていくことが、私たちの目指すところです。そのために、まずはご自身、周囲の人々そして社会全体で乾癬に対する正しい知識を持つことが大切です。

乾癬への偏見をなくそう

2014年、WHO (世界保健機関) は、乾癬が「苦痛をともない、外観を損ない、また、機能障害をもたらす慢性・非伝染性の疾患であり、根治治療のない疾患である」と認めました。WHOは乾癬が「身体的な症状」だけでなく、「心理的・社会的な負担がある」ことも認めています2。 WHOで乾癬が単独で取り上げられた事はなく、まさに世界が乾癬の偏見と向き合い闘うことを決めた歴史的な瞬間といえます。乾癬の患者さんは全世界で1億2,500万人、日本では人口1,000人あたり1~3人、約43万人の患者さんがいるといわれています1。患者さんは決して一人ではありません。社会は今すぐには変わらないかもしれません。しかし、一人ひとりが病気を正しく理解し、意識をして行動を続けていけば、少しずつ変化していくはずです。仲間とともに根気よく、偏見のない社会を目指していきましょう。

 

参照文献     

  1. ノバルティスファーマ株式会社編、今福信一 福岡大学医学部 皮膚科学教室教授監修(2015)「乾癬について」
  2. WHOホームページ〈http://apps.who.int/gb/ebwha/pdf_files/WHA67/A67_R9-en.pdf

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