第2回じんましん公開セミナーQ&A

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左:司会 笹岡樹里さん 右:東京女子医科大学 皮膚科 准教授 石黒直子先生

このQ&Aページでは、11月25日に「蕁麻疹のなに?なぜに答える」をテーマに開催された、第2回Webで参加する じんましん公開セミナー内で参加者の方から頂いた質問と、セミナーに登壇頂いた講師の先生による回答を一部抜粋して掲載しています。

講演に参加できなかった方も、講演の内容をもう一度振り返りたい方も、他の患者さんが抱かれている疑問やそれに対しての先生のアドバイスを是非参考にしてください。 

[講師]
東京女子医科大学 皮膚科 准教授 石黒直子先生

「かゆみがつらい」をテーマに開催された、第1回Webで参加するじんましん公開セミナーのQ&Aページはこちらから

Q. 多くの蕁麻疹の研究が進められているのにもかかわらず、現代医学を
  もってしても蕁麻疹の多くが原因がわからないというのは、何が難所と
  なっているのでしょうか。

【石黒先生】
A. 今後も様々な方面から検討を続けて、特定の原因が明らかでない蕁麻疹がどのようにして発症するのか解明していきたいと思います。

Q. 今年の6月頃から全身が順番にかゆくなる症状が出始めました。
  地図のような凹凸はできません。抗ヒスタミン剤が処方され
  服用しておりますが、一生服用が続くのかと思うと憂鬱です。
  またストレスがなくなれば、この症状も和らぐ可能性は
  あるのでしょうか。蕁麻疹を出にくくする方法はあるのでしょうか?

【石黒先生】
A. 多くの慢性蕁麻疹はきちんと治療することで治る場合が多いです。東京女子医大の皮膚科での検討では、治る方での治るまでの平均期間は、発症から約2年でした。
慢性蕁麻疹の多くの方がストレスを感じた時や疲労時に蕁麻疹が出現したり悪化することがあります。このような方たちではストレスが取り除かれることで症状が和らぐ可能性はあります。

出典:石黒直子ほか:皮膚臨床 51(7), 885, 2009

Q. 長期間(約8年)じんましんを患っております。皮膚科に通い、
  薬を飲んでいると症状は出ませんが、止めるとじんましんが出ます。
  このまま同じ薬を飲み続ける方が良いのでしょうか?
  他に治療方法があるのでしょうか?完治するにはどうすれば
  良いでしょうか?

【石黒先生】
A. 東京女子医大の皮膚科での検討では、症状がでてから5年以上が経過している方では治る率が低いことから、まずはきちんと内服することで症状をコントロールすることを治療の目標としていくようお話ししています。

出典:石黒直子ほか:皮膚臨床 51(7), 885, 2009

Q. 原因はどうやったら分かりますか?

【石黒先生】
A. まずは、症状が出やすい条件がいつも一緒かどうか、自分で振り返ってみてください。同じ食物の摂取で症状がよくでるのかどうか、汗をかいた時にでやすいかどうかなどです。
それが本当に原因かどうかを確認するには、皮膚科を受診して相談し、場合により検査をしてもらいましょう。歯科や耳鼻科的な疾患が原因となることがあり、それらを治療することで軽快する場合もありますので、気になる症状があれば診察を受けましよう。

Q. 治療期間の目安や指標を知りたい。

【石黒先生】
A. 多くの慢性蕁麻疹はきちんと治療することで治る場合が多いです。東京女子医大の皮膚科での検討では、治る方での治癒に至るまでの平均期間は、発症から約2年です。

出典:石黒直子ほか:皮膚臨床 51(7), 885, 2009

Q. 慢性蕁麻疹は原因が不明だと聞いていますが、予防法や悪化しないように
  する対策はありますか?どのような生活をすることが望ましいのか?

【石黒先生】
A. 眠気の少ない抗ヒスタミン薬などを医師の指示に従って内服することで症状をコントロールできる場合が多いです。十分睡眠をとり、ストレスがたまらないような生活を心がけましょう。

秀道広ほか:日皮会誌 121(7),1339-1388,2011

Q. 圧蕁麻疹(遅延性)に罹っています。蕁麻疹といえば痒みが
  強いものだと思うのですが、私の場合痒みはなく患部が腫れてかなり痛みます。
  捻挫と火傷が合わさったような痛みです。
  蕁麻疹によって痒みが現れる仕組みと痛みが出る仕組みは違うのでしょうか。

【石黒先生】
A. 圧蕁麻疹(遅延性)では、確かにかゆみ以外に、ときに痛み、灼熱感がでるようですね。痒みは痛みの弱い感覚と以前は考えられていましたが、最近の研究により異なった神経線維により伝達されていることがわかり、別々の感覚であると考えられるようになりました。しかし、まだまだ不明な点も多いようです。

出典:倉石泰:アレルギー免疫 23(9)1193-1199,2016

Q. 私の蕁麻疹は、朝夕でたり、一日中でていたり、また、一か月ぐらい
  何も症状がなくホッとしていると急にでたりとあまりにも不規則で、
  いつまで続くのか不安でなりません。蕁麻疹患者にとって
  あまり摂取しないほうがいい食べ物などあるのでしょうか?
  また、日々の生活で心がけたほうがいいことなどありますでしょうか?

【石黒先生】
A. 特定の食物を摂取して比較的すぐに症状がでることが多いようであれば、皮膚科できちんと検査をしてもらうとよいと思います。
そのような食物がなければ基本的には制限はありませんが、例えば鯖は鮮度が落ちるとヒスタミンを多く含むようになるため、新鮮なものを摂取するようにしましょう。また、蕁麻疹の症状が強い時にはアルコールや強い香辛料など末梢血管を拡張するものはかゆみを増強することがあるので、注意が必要です。熱いお湯での入浴や長湯もかゆみを増強する可能性があります。十分睡眠をとり、ストレスがたまらないような生活を心がけましょう。

秀道広ほか:日皮会誌 121(7),1339-1388,2011

Q. 薬を処方してもらい、現在かゆみや赤み、膨らみなどは
  ほぼ出なくなったのですが、硬いものや尖ったものが皮膚に
  擦れたりぶつかったりするとその部分が赤くなってしまうという症状が
  しつこく残っています。赤くなるだけでじんましん特有のかゆみや
  膨らみはなく、1時間くらいで綺麗に消えてしまいます。
  どうすれば治るのか、また原因があるのか、何かよい方法や対策などが
  あれば是非知りたいです。

【石黒先生】
A. 機械的な刺激ででる機械性蕁麻疹(人工蕁麻疹)も通常の慢性蕁麻疹と同様の治療により軽快していく場合が多いです。引き続き医師の診察を受け、薬の調整をしてもらうと良いでしょう。

出典:秀道広ほか:日皮会誌 121(7),1339-1388,2011

Q. 蕁麻疹ができて3ヶ月が経ちます。
  薬を飲み続けていて、かゆみはある程度抑えられていますが、
  毎日蕁麻疹はでています。
  食べ物が原因では無いと思いますが、今のところ原因が特定できていません。
  今後治るのでしょうか?

【石黒先生】
A. 蕁麻疹の原因は不明なことが多いです。原因がわからない方でも治る方が多いことがわかっています。特に症状がでて1年以内の方はきちんと治療すると治る率が高いことがわかっています。まだ十分に症状が抑えられていないようですので、引き続き医師の診察を受け、薬の調整をしてもらうと良いでしょう。

出典:石黒直子ほか:皮膚臨床 51(7),885,2009

Q. 慢性じんましんで、常備薬を飲んでいます。
  完全に治る薬は開発されていないのでしょうか?

【石黒先生】
A. 多くの慢性蕁麻疹はきちんと治療することで治る場合が多いです。東京女子医大の皮膚科での検討では、治る方での治るまでの平均期間は、発症から約2年です。
ほぼ毎日症状が出る場合には、眠気の少ない抗ヒスタミン薬などの定期的な内服を開始します。また、治療で軽快してからも、少なくとも3か月以上の内服の継続が望ましいと言われています。もし、現在の治療でも軽快しない場合には、治りにくい方に行われる新しい治療もでてきていますので、医師にご相談ください。

出典:石黒直子ほか:皮膚臨床 51(7), 885, 2009

Q. 今年に入ってから、体のあちこちが痒くなり、手でかくとその部分が
  赤くミミズ腫れになり熱を持つということが続いております。
  蕁麻疹が出るとぐったりと疲れ、寝込むほどです。
  QOLにも影響しており、ぜひ良い治療法を教えてください。

【石黒先生】
A. お話からはおそらく蕁麻疹で、機械的な刺激ででる機械性蕁麻疹(人工蕁麻疹)もお持ちではないかと思います。ただし、寝込むほどというのは症状が強いですので、早めに医師にご相談ください。蕁麻疹と似ているが違う病気というものもあります。その場合には発熱や関節の痛みなどの全身の症状もでますので、きちんと診断してもらいましょう。蕁麻疹でよければこちらの回答をご参考にしてください。

Q. 飲み薬、塗り薬を使用していますが、一向に改善しません。
  顔、手のひら裏表、足首より先には出来にくいですが全身に出来たり
  消えたりします。20年ぐらい前にアトピーで全身がひどくなった事が
  ありますが、その時は転勤して環境が変わったら改善されました。
  かゆみが出るとついかきむしってしまい、赤くなってひどくなります。
  何とか改善したいのですが、どうすればよいのでしょうか?

【石黒先生】
A. 診断により治療方法が異なりますので、まず、皮膚科を受診いただき、現在の症状がアトピー性皮膚炎によるものか、蕁麻疹によるものか、もしくは両者ともあるのかを診断してもらってから、適切な治療をしてもらうことをお勧めします。

Q. 皮膚科に約8年通院し、現在は朝晩薬の服用と塗り薬を使用しています。
  毎年涼しくなると症状が軽減し、暑くなると自分の汗で悪化してを
  繰り返しており、根治する気配がありません。医師からは治るのは
  難しいだろうと言われていますが、何が原因かは調べていません。
  以前に他院でパッチテストをしたこともありますが、特に何も反応は
  していないとのこと。健康診断の結果も特段異常は出ません。
  毎月の通院も経済的・精神的にきつく、また長年薬を飲み続けることの
  体への負担も気がかりです。せめて塗り薬だけで生活できるように
  なりたいと思っていますが、症状を抑えることはできないのでしょうか。

【石黒先生】
A. 蕁麻疹であれば症状がでるのを抑える適切な塗り薬はありませんが、湿疹であれば塗り薬で治療をします。診断により治療方法が異なりますので、まず、皮膚科を受診いただき、現在の 症状が蕁麻疹によるものか、湿疹によるものか、もしくは両者ともあるのかを診断してもらってから、適切な治療をしてもらうことをお勧めします。

Q. 毎年季節変わり目か疲れが溜まったとき、目の瞼が腫れることから始まり、
  あっという間に身体全体にアメーバ状の蕁麻疹が広がり、だんだん硬く
  盛り上がり、手の平表、裏から、足の裏、頭の中、耳、まで広がり全身が
  痒い状態が一週間ほど続きます。
  昨年は首も腫れ喉の軌道が心配で入院もしました。今のところ検査では
  原因わからずで、対処療法の飲み薬、注射で治療しています。
  他に何か対処方法ありませんか?花粉症以外アレルギーの症状なしで、
  10年以上続いてます。

【石黒先生】
A. 症状の出る回数は少ないようですが、症状がでると強くでるようですね。症状がでるにあたり特定の原因や誘因、条件がわからない方では、症状が出た時に頓服で飲む薬をあらかじめ処方してもらい、常に携帯しておく方法もありますので一度皮膚科でご相談下さい。
また、出やすい条件(目が疲れた時など)がある程度決まっているようでしたら、その時には症状が出る前に予防的に蕁麻疹の内服をしておくのも1つの方法ですので医師にご相談してみてください。

Q. 蕁麻疹の症状が酷く出てくるのが朝~昼より夜間が多いのですが、
  これは夜の方が疲労が溜まっているからでしょうか。

【石黒先生】
A. 一般的に蕁麻疹は夜間にでることが多い傾向がありますが、その理由はよくわかっていません。

Q. 睡眠不足、ストレス、疲労が重なると出る蕁麻疹の予防法、出る前の
  サインなど、注意できる事無いでしょうか?

【石黒先生】
A. 睡眠不足、ストレス、疲労が重なった時に蕁麻疹がでやすい方では、 そのような条件の時に、予防的に蕁麻疹の内服をしておくのも1つの方法です。医師にご相談してみてください。また、蕁麻疹がでやすい状況が続くようなら、十分睡眠をとり、ストレスがたまらないような生活を心がけましょう。

 

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