第2回じんましん公開セミナーハイライト-①

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左:司会 笹岡樹里さん
右:東京女子医科大学 皮膚科 教授 石黒直子先生

11月25日にじんましんの「なに?」「なぜ?」に専門家が直接お答えする、Webで参加する第二回じんましん公開セミナーを実施しました。前半の講演では、じんましんの色々なタイプとその症状について東京女子医科大学皮膚科 教授の石黒直子先生に解説していただきました。講演に参加できなかった方、講演の内容をもう一度振り返りたい方のために、公開セミナーのハイライトを記事でお届けします。後半のセミナー「なぜ症状が出るの? - あなたの生活を振り返ってみよう」のハイライトはこちらから。

 

この症状ってなに?

実は知られていないじんましんの色々なタイプ

日本皮膚科学会が出している、「じんましんの病型ガイドライン」によると、じんましんの病型は「特発性」と「刺激誘発性」の2つに大きく分けられます:

・特発性
明らかな外部誘因が不明で、症状が毎日、もしくはほぼ毎日出現し、それが一カ月以上持続する「慢性」と、そこまで症状が続かない「急性」に分かれます。

・刺激誘発性
一定の刺激によってでてくる蕁麻疹で、具体的には「物理的刺激」と「その他」に分かれます。 また特殊系として「血管性浮腫」もあります。

 

じんましんの原因・誘因別分類 

じんましんを原因・誘因別に分けてみると、「食べ物」が原因となっている場合、「薬剤」が原因となっている場合、「物理的刺激」によって起こるもの(引っ掻き・寒冷・日光・温熱)、その他に汗をかいた時に起こるコリン性蕁麻疹等があります。

 

実際に東京女子医科大学の皮膚科患者の皆さんに、「じんましんが悪くなるきっかけ」をお答えいただいたのが、下記の表になります。最も多い回答は「圧迫刺激」で、次に「温熱刺激」です。

 

 

じんましんとは

じんましんは、5人に1人はかかる身近な病気で、10代~30代の若い女性の患者さんが多いです。 赤く、盛り上がる発疹が突然出て、数時間で消える症状がじんましんの特徴です、これを膨疹(ぼうしん)とよびます。 症状がひどい場合は、どんどん身体全体に広がっていきます。更に強い症状の場合、唇が腫れたり、くしゃみや涙がでたり、もしくはのどが腫れて、息苦しくなるといった「ショック症状」を起こすこともあります。

 

じんましんの色々なタイプ

・特発性のじんましん

原因が分からないじんましんで、最も多いです。

 

・人工じんましん(機械性じんましん)<物理刺激で出てくるじんましん①>

引っ掻く等の機械的刺激で出るのが、人工じんましんです。健康な方の場合も、引っ掻いたところは赤くなりますが、写真のように盛り上がってくるのは、じんましんの特徴です。

 

・寒冷じんましん<物理刺激で出てくるじんましん②>

これは冬の寒い時期の寒冷刺激ででます。確認方法はアイスバー(冷たく冷やした棒)などを皮膚にあてて、15分経った後に判定します。ここで膨疹がみられると、寒冷じんましんと診断されます。

 

・日光じんましん<物理刺激で出てくるじんましん③>

日光照射によってでてくるじんましんです。 可視光で誘発される人では、プロジェクターランプを皮膚に照らし、膨疹がみられると、日光じんましんと診断されます。

 

・温熱じんましん<物理刺激で出てくるじんましん④>

一定の温度以上の刺激で起こるじんましんです。確認方法は、試験管にさまざまな温度のお湯をいれ、皮膚に5分間あてます。こうすることにより、反応する温度を調べることができます。

 

・コリン性じんましん

このじんましんは、発汗した場所にでてきます。汗が出る場所に細かな膨疹が起こり、ピリピリすることがあるのが特徴です。

 

その他の特殊なじんましん

・口腔アレルギー症候群

原因となる食べ物、特に野菜や果物を食べた際に口の中に刺激感、またはのどが詰まるような感じなどのアレルギー症状がでます。ひどい場合はじんましん、血管性浮腫、ぜんそく、ショック症状も出てくる場合もあります。

 

この口腔アレルギー症候群では、すでに花粉症のある方がその原因となる花粉抗原と構造が似ている(相同性を有する)抗原を含む野菜や果物を食べると、症状を起こすようになります。例えば、上の写真の場合、豆乳の摂取で症状が出た方です。豆乳では皮膚テスト(プリックテスト)を行ったところ陽性でした。この方は「シラカンバ」と「ハンノキ」のIgEが陽性でした。実際にこの方に確認すると、昔から春になるとくしゃみ、鼻水が出る、という症状がみられていました。すべての食べ物で必ず症状がでてくる訳ではないのですが、口腔アレルギー症候群を起こす可能性のある食物と花粉の組み合わせを知っておくことが大切です。

 

・アスピリンじんましん(アスピリン不耐症)

アスピリンとは解熱鎮痛剤のお薬の名前です。アスピリンじんましんは、アスピリンなど一部の解熱鎮痛薬で起こるじんましんです。薬を服用した際に、膨疹ではなく、細かい赤い発疹がでることもあります。食物添加物や食物中のサリチル酸化合物の摂取でもこういったじんましんがでてきます。アスピリン不耐症はじんましんのほか、ぜんそく、鼻アレルギーをまとめて示します。

 

・食物依存性運動誘発性アナフィラキシー

 

・血管性浮腫

 

じんましんの診断方法

まず患者さんから詳しく話しを聞いて、考えられる原因、誘因を確認していきます。そしてその原因を避けるなどして、症状がでなくなるかどうかを確認します。更に検査(血液検査・皮膚テストなど)で原因を絞り込み、最終的な診断を行います。

じんましんは様々なタイプのものがあり、原因・誘因が見つかることもあります。発疹が確認された場合は、皮膚科医に相談し適切な治療を行いましょう。

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