単なる外見上の問題…ではありません!

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Katie Beleznay博士はブリティッシュコロンビア大学皮膚科の臨床講師で、主に乾癬を専門に研究しています。Beleznay博士のツイッターはこちらでご覧になれます。

<Beleznay博士>
乾癬の患者さんからもっともよく聞かれる訴えは、「正常な」皮膚の人たちは、皮膚疾患をかかえる生活がどのようなものかを理解してくれない、ということです。「大丈夫よ、見た目だけのことだもの」とか、「ローションを塗るか、お化粧で隠しちゃえば?」などと見かけの問題だけを言います。生まれつきのアザ程度に考える人もいるそうです。こうした反応には、私も皆さんと同じくらい腹立たしい気持ちになります。現実はまったく違うのです。ときには、理解してもらえないという現実を直視することも必要です。

感情面への影響

皮膚科医は、DLQIという生活の質を測るスコアを使って皮膚疾患の重症度を評価します。DLQIは10問からなる質問票で、症状と感情、日常生活、余暇、仕事と学校、人間関係、治療を含む6領域に焦点を当てています。もっともスコアが悪い皮膚疾患のひとつが乾癬だという報告があります1。つまり、乾癬をかかえる患者さんは大きな苦痛を感じることが多く、その苦痛は皮膚の領域をはるかに超えているということです。慢性の皮膚疾患は、人間関係、社会的活動、仕事、全体的な自信にも影響しかねないのです。

外見上の問題だけではない

こうした皮膚疾患を「単なる外見上のこと」と考えている方には、症状はさまざまな側面に存在しているのだということを理解していただければと思います。皮膚疾患はそれ自体ですでに大変な不快感です。仕事を探すときや運動をするとき、皮膚疾患がどう影響するか考えてみてください。確かに、多くの患者さんは外見上の悩みを抱えています。紅斑や鱗屑は出来るだけ他の人に見られたくありません。乾癬の場合、患者さんはその症状と悩みに何年間も耐えなければならないこともあるのです。

慢性疾患がある場合は、言うまでもなく、皮膚にあらわれる症状が一番の悩みであり、再発を抑えることが治療計画の目的のひとつとなります。同時に、私はいつも患者さんに、感情的・心理的な副作用についても助言しています。再発していないとしても、心配や不安は続くものです。自分の症状をコントロールできていると患者さんに感じてもらえるようにお手伝いすることが私の願いです。

乾癬の患者さんには、疾患が生活のさまざまな側面にどう影響するのかを知っておいていただきたいと思います。それはつまりどのような服装にするか、何をすべきか、他の人たちとどう接していくかといったことです。慢性疾患の管理において治療は重要な役割を果たしますが、全体的な生活の質を改善するうえでは知識と自己認識をご自身が持つことが不可欠です。

 

参照文献

  1. Lewis and Finlay, J Invest Dermatol Proc 2004; 9:169-180.

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