じんましんQ&A

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第2回じんましんセミナー

このQ&Aページでは、9月2日に「かゆみがつらい」をテーマに開催された、第1回Webで参加する じんましん公開セミナー内で参加者の方から頂いた質問と、セミナーに登壇頂いた講師の先生による回答を一部抜粋して掲載しています。

講演に参加できなかった方も、講演の内容をもう一度振り返りたい方も、他の患者さんが抱かれている疑問やそれに対しての先生のアドバイスを是非参考にしてください。 

[講師]
藤田保険衛生大学坂文種報徳曾病院総合アレルギー科 矢上晶子先生
こどもメンタルクリニック芝 臨床心理士 吉田真奈先生

Q. 蕁麻疹の定義はなんでしょうか?どのような皮膚の状態なのでしょうか?

【矢上先生】
A. 皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてなくなるのが特徴で、たいていは痒みをともないます。

出典:蕁麻疹診療ガイドライン. 秀道広ほか. 日皮会誌. 2011; 121(7): 1339-88もしくは日本皮膚科学会皮膚科Q&A

Q. 蕁麻疹の要因を調べたいのですが、どのような方法がありますか?

【矢上先生】
A. 蕁麻疹全体の7割は「特発性」で、調べても原因が分からないことがほとんどです。ピロリ菌、感染症、甲状腺などの原因もあるので、血液検査で原因が分かることもあります。皮膚科やアレルギーの専門医がいる施設に行き、一度きちんと検査してもらうことも非常に大切かと思います。

Q. 蕁麻疹の原因も不明で入浴後、飲酒後、就寝前など発症がいずれもランダムなため、予防できなくて困ってます。
年齢を重ねる事でアレルギー体質になるのか、また免疫機能が低下して蕁麻疹が出やすくなるのでしょうか。
今まで出てない人がいきなり蕁麻疹が出てくるのでしょうか。

【矢上先生】
A. 蕁麻疹は、ある日突然発症します。食物などのアレルギーが原因で蕁麻疹になる方は少ないです。原因が確認できないまま、数日で症状がなくなる急性蕁麻疹が多いのですが、急性蕁麻疹かと思って様子をみていたら、長期的に慢性蕁麻疹になっている方もいらっしゃいます。膨疹が出続けていると、入浴、飲酒など血流がよくなることで蕁麻疹が誘発されやすくなることもあります。そのため、急性蕁麻疹でもお薬を内服された方がよいと思いますので、医師にご相談ください。

出典:田中稔彦ほか. アレルギー. 2006; 55(2): 134-9

Q. 蕁麻疹の原因の7割は不明であると聞きますが、個人的にはストレスが関係しているという気がします。福祉系の仕事をしており、勤務先が遠い、人間関係の不和、仕事にやりがいが持てないなどのストレスを抱えています。
今の仕事を辞めてしまえば、少しは症状が改善されるのだろうか、など考えてしまうのですが、仕事を辞めるにせよ、継続するにせよ、蕁麻疹は治る見込みはあるのでしょうか。
あるいは、抱えているストレスを解決していくことでしか、症状の改善につながらないのでしょうか。

【矢上先生】
A. ストレスが蕁麻疹の原因の中心ではなく、あくまでもプラスαの悪化因子の1つになります。仕事を辞めるような大きな決断をすることで症状が改善する可能性はありますが、自己判断のみで決めるよりは、ストレスを相談できる、自分が心から信用できる医師を探し、一度相談してみてはいかがでしょうか。

出典:蕁麻疹診療ガイドライン. 秀道広ほか. 日皮会誌. 2011; 121(7): 1339-88もしくは日本皮膚科学会皮膚科Q&A

【吉田先生】
A. ストレスと蕁麻疹の症状には関係があるとされています。しかし、ストレスを完全に無くすことは難しいため、ストレスと上手に付き合っていく方法を見つけることが大切です。まずは自分にとってどのようなことがストレスになっているのか、それにどう反応しているのかを知り、適切な対処方法を考えてみてください。また、自分に合ったストレス発散方法を探したり、リラクゼーションを実践するのも対処方法として良いと思います。もしどうすればいいかわからない場合は、心療内科や精神科で相談してみるのも一つの方法です。一人で抱え込まないことが大切です。

出典:蕁麻疹診療ガイドライン. 秀道広ほか. 日皮会誌. 2011; 121(7): 1339-88もしくは日本皮膚科学会皮膚科Q&A

Q. 産後1ヶ月を過ぎた日から7ヶ月間、毎日朝晩と蕁麻疹に悩まされています。
授乳中でも飲める薬を1日2回飲んでいます。薬を飲んでいても、ひどい時は足に地図のように広がった膨らみになりとてもかゆくてつらいです。
お医者さんにはストレスを無くしなさいとか、家事を手伝ってもらいなさいとか言われますが、核家族のため困難です。
かゆくて赤ちゃんのお世話もままならない時があります。授乳をやめたら治るのでしょうか?
また、授乳をやめたらもっと効く強い薬がもらえるのでしょうか?
いつまで続くのかと不安です。

【矢上先生】
A. 出産後は育児に忙しく、ストレスがかかることも多いと思います。お薬にもそれぞれの特性がありますので、主治医の先生に積極的にご相談いただき、いろいろな薬剤を試しながら、もしくは組み合わせながら、ご自身に効果のある薬剤を見つけていくことが大切です。症状や困っていることをしっかりと医師に伝えることが大切です。

【吉田先生】
A. ストレスの無い生活を送ることは難しいですが、産後であればいつも以上にストレスの多い状況にあると思います。産後は特にホルモンの影響もありますので、決して無理をせず、自治体の育児サポートを受けたり、同じような月齢の子どもが集まる場(児童館など)で情報交換をするのも良いと思います。今は特に大変だと思いますが、一定期間と思い、育児も家事も頑張りすぎないことが大切です。もし家族や友人などに相談するのが難しい場合は、皮膚科専門医に話してみるのも一つの方法です。一人で抱え込まず、子どもとの時間を楽しめる余裕が出てくるといいですね。

Q. 寒暖差蕁麻疹の予防策は何があるでしょうか?

【矢上先生】
A. 寒冷蕁麻疹を患っている患者さんは、意外と多くいらっしゃいます。温度差が原因になるので、そのような要因を引き起こす状況をなるべく避けることが一番大切です。生活に無理のない程度に、主治医と相談しながら決めていくことが良いと思います。

Q. コリン性蕁麻疹と診断されました。
体温があがる場面で、全身に針で刺したような激しい痛みが出ます。
薬や、運動等々、色々試していますが、効果があるものはいまだに見つかっていない状態です。

【矢上先生】
A. 難しい状況であると思います。今は蕁麻疹の治療の選択肢が広がっているので、様々な可能性について皮膚科専門医とご相談いただければと思います。

Q. 「遅延性圧蕁麻疹」で、皮膚科を受診しています。
複数のお薬を処方され、3年以上続けていますが良くなる気配がありません。
症状としては、負荷の掛かった手の平や指の腹、足の裏に痛みのある紅斑と各関節の腫れと痛みが繰り返します。痒みは殆どありません。
家に居て安静にしていると、殆ど症状が出ないのですが家でじっとしているわけにもいかず、毎日痛みに耐えつつ仕事に行っている状態です。
特に足の裏に出来ている時は歩くのも辛いです。
何か良くなる方法はないのかと調べますが、蕁麻疹の種類の中にチラッと出てくる程度であまり詳しく載っていません。
どのような対処法があるのか、また完治することはあるのでしょうか?

【矢上先生】
A. 珍しいタイプの蕁麻疹ですが最近よく聞くようになりました。このタイプについては治療方針が明確になっていないのが現状であり、主治医の先生と相談をしながら治療方針を決めていく必要があります。今は蕁麻疹に対する多くの薬剤が使用できるようになっておりますので、治療選択肢を含めて皮膚科専門医とよくご相談いだくことをお勧めいたします。

Q. 5年ほど前から蕁麻疹を患っています。
薬剤を複数服用し、最近では落ち着いてきましたが、生理前になると朝夕、手足に蕁麻疹がでます。
なかなか完治しない蕁麻疹がいつまで続くのか心配です。

【矢上先生】
A. 体調によって蕁麻疹は出ることがあります。症状はストレスや気候などによって変化するので、主治医の指示にしたがってお薬を調節してみても良いと思います。諦めずに通院して、主治医に伝えることが大事です。蕁麻疹は医師の前では症状が治まっていることが多いので、症状の経過をしっかり伝えることをおすすめします。

Q. 蕁麻疹が3ヶ月続いており、この間、症状が悪くなってます。
病院で薬を処方してもらいましたが、良くなっていないと感じています。
毎晩、蕁麻疹がでており辛いです。なんとかならないでしょうか?

【矢上先生】
A. 症状が出現する"時"や"時期"だけでなく、しばらくきっちりと内服を続けることが大切です。それが、しっかりと症状をコントロールしていくことにつながります。主治医の指示通りにしっかりと内服を続けていても症状が十分にコントロールできていない場合には、お薬の量を増やしたり、他の薬と組み合わせたりしながら症状を見ていきますので、医師にご相談ください。ストレスや体調などで蕁麻疹は再燃することがありますので、再燃しても太刀打ちできるように良好なコントロールを目指すことが大切です。

Q. 膨疹や掻破痕でボロボロになった皮膚は、綺麗にもどるでしょうか。
どのくらいの期間がかかるでしょうか。

【矢上先生】
A. 個人差はありますが、戻る場合が多いです。時間がどのくらいかかるかについても個人差があり明確にはいえませんが、適切な皮疹にあった外用薬を使うことが大切ですので、医師に相談してください。

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