第1回じんましん公開セミナー ハイライト−①

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第2回じんましんセミナー

左:藤田保険衛生大学坂文種報徳曾病院総合アレルギー科 矢上晶子先生
右:こどもメンタルクリニック芝 臨床心理士 吉田真奈先生

9月20日に「じんましんの原因とされるストレスとの上手な付き合い方」をテーマに、Webで参加する第一回じんましん公開セミナーを実施しました。前半の講演では、じんましんのタイプ(病型)とじんましん患者さんのQOL(生活の質)について、藤田保健衛生大学坂文種報徳曾病院・総合アレルギー科の矢上晶子先生にお話しいただきました。

講演に参加できなかった方、講演の内容をもう一度振り返りたい方のために、公開セミナーのハイライトを記事でお届けします。

後半のセミナー「ストレスとの上手なつきあい方」のハイライトはこちらから。

「かゆみがつらい!」
矢上晶子先生 藤田保健衛生大学坂文種報徳曾病院・総合アレルギー科

じんましんの主たる病型

「じんましん」は「特発性」または「刺激型」の二つに分かれます。「刺激型」というのは、アレルギーや日光などで皮疹が誘発される、外部からの刺激によるじんましんです。一方で「特発性」は、明らかな誘因がないものを指します。その特発性のじんましんは、慢性または急性に分かれ、一カ月以内で治るものは「急性じんましん」、一カ月以上継続するものを「慢性じんましん」と呼びます。血管性の浮腫(皮膚や粘膜が腫れること)で腫れてしまう、またはじんましんの関連疾患として「膠原病」という別の病気から発症するじんましんもあります。患者さんの症状の経過をお伺いし、検査後、治療方針を立てていきます。

下の円グラフはじんましんの病型別で患者数の割合を表したものになります。「じんましん」はたくさんの病型がありますが、その5割以上の患者さんが「慢性じんましん」です。慢性じんましんは治るのに時間がかかるため、「どうして治らないんだ?」と悩みながら、1カ月以上症状が続く方が多くいます。

じんましんの病型と検査

じんましんは病型別に検査、そして治療を行っていきます。「特発性じんましん(慢性じんましんも含む)」はむやみに検査をしません。多くの場合は、検査よりも治療の方に重きを置いて進めていきます。なぜなら、「特発性じんましん」は多くの検査をしても結局原因がわからないことが多いからです。その他のアレルギー症状、または処方されたお薬など、症状を悪化させるものを検討、除外しながら、治療を進めていきます。

じんましんの治療には主に「抗ヒスタミン薬」というお薬を処方します。通常量を、朝晩一回ずつ、または夜一回など、患者さんの症状によって量を決めます。治らない場合、患者さんの症状を見ながら、他のお薬に変更する、「補助的治療薬」と言われる他のお薬などと組み合わせる、または増量することがあります。さらには「ステロイド薬」や「免疫学的治療」を行うことがあります。

慢性じんましんの場合には、1つのお薬ではなくて2つのお薬を組み合わせたり、また治療の薬効が異なるじんましんの治療に効果のあるお薬を加えながら治療を行ったりすることもあります。そのため複数の薬剤を服用しますが、あまり心配なさらずに医師としっかり相談しながら治療を行っていくことが大切です。

「じんましん」がなかなか治らない

じんましん患者さんの多くは「なかなか治らない」ことにすごく悩まれていると思います。

しっかりと治療を行うと、1、3、5年後の寛解率(症状が治まること)はそれぞれ18.5%、54%、67.7%となる報告があります*。つまり、なかなか治りにくいことを示していますが、しっかり治療すれば治っていくことも示しています。すぐには治らなくても前向きな治療をすることが大切です。

* Chansakulporn,S. et al.: 71(4):663-8,2014

慢性じんましん患者さんのQOL(生活の質)

じんましんは痒みが強く、皮膚が赤くなったり、かきむしって皮膚がボロボロになってしまったりすることもあります。慢性のものは一所懸命に治療してもなかなか治りづらいこともあるため、心身共にストレスを感じてしまい、日常生活の質が低下することがあります。

じんましんとストレスの関係性

「いつ治るか分からないじんましん」の漠然とした長期的な治療でストレスを感じる患者さんですが、そのストレスに加え、学生の方は試験のストレス、社会人の方は職場でのストレスなど、仕事や生活をしていくなかでストレスが大きくなっていきます。

じんましんとストレスは大きな関係があり、じんましんはストレスによって悪化してしまうことがあります。そのため、じんましん患者さんは治療をしながら、日常のストレスともうまく付き合っていくことが大切です。

後半のセミナーストレスとの上手なつきあい方を読む

 

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